保健師を目指すと決めたら、次に気になるのは国家試験と学費のことではないでしょうか。
「試験はどのくらい難しいの?」「実際にいくらかかるの?」
この記事では、保健師国家試験の難易度と学費について詳しく解説します。私自身が保健師国家試験を受験した経験から、実際の勉強法や失敗談もお伝えします。
かかった費用も包み隠さず公開しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事は、保健師になる方法をすでに理解している方向けの内容です。
「保健師になるにはどうすればいいの?」という基本から知りたい方は、まずこちらの記事をお読みください。

保健師国家試験の難易度と合格率【過去5年90%以上】

保健師国家試験について、詳しく解説します。
試験内容や難易度、合格率などを理解しておきましょう。
過去5年間の合格率は90%以上
保健師国家試験の合格率は非常に高い水準を維持しています。過去5年間の合格率は、ほぼ90%以上となっています。

合格率だけを見ると、比較的合格しやすい試験に見えます。
しかし、保健師国家試験だけでなく看護師国家試験にも合格する必要があります。
- 看護師国家試験:約88〜91%
- 助産師国家試験:約96%以上
保健師国家試験の合格率は看護師より高く、助産師より低い傾向です。
nao私は看護師の国試を1度失敗したので、油断禁物!
ただし、2つの試験に合格しなければならない点を考慮すべきです。
保健師になる難易度は決して低くないと言えるでしょう。
試験内容と4つの出題科目
保健師国家試験では、4つの科目(公衆衛生看護学、疫学、保険統計、保健医療福祉行政論)から出題されます。
それぞれの科目内容を理解しておきましょう。
保健師国家試験の出題科目


| 出題部分 | 問題数 | 試験時間 | |
|---|---|---|---|
| 午前 10時40分~12時 | 一般問題 | 40問 | 1時間20分 |
| 状況設定問題 | 15問 | ||
| 午後 13時55分~15時15分 | 一般問題 | 35問 | 1時間20分 |
| 状況設定問題 | 20問 |
全110問を2時間40分で回答していく。
試験は1日で実施され、午前と午後に分かれ、マークシート形式の選択問題です。
出題基準は厚生労働省が定期的に更新しています。最新の出題基準を確認して試験対策を進めましょう。
- 公衆衛生看護学:最も出題数が多く、(看護師・保健師の)実習経験が活きる
- 疫学:計算問題もあり、しっかり理解が必要
- 保健統計:数字に苦手意識があると苦戦する
- 保健医療福祉行政論:法律名や制度が複雑で暗記が大変
自分の得意・不得意を把握して対策する必要があります。
保健統計と行政論は、看護師試験にはない分野なので注意が必要です。
看護師国家試験とのダブル受験は可能?
看護師国家試験と保健師国家試験は別の日に実施されます。そのため、同じ年に両方の試験を受験することができます。
2024年度
- 保健師国家試験:2月9日
- 看護師国家試験:2月11日
2025年度
- 保健師国家試験:2月13日
- 看護師国家試験:2月15日
両試験とも毎年2月に実施されますが、日程は異なります。試験日が重ならないため、ダブル受験が可能です。
ダブル受験のポイント
- 両方の試験対策を並行して進める必要がある
- 2月上旬は試験ラッシュで体力的・精神的な負担が大きい
- 計画的な学習スケジュールが重要
- 保健師試験が先に実施される
- 保健師試験の翌日は休養日にできる(中1日空く)
保健師課程がある4年制大学では、最終学年でダブル受験。看護師免許取得後に保健師養成機関に進んだ場合も同様です。
保健師試験に合格しても看護師試験に不合格の場合があります。その場合、保健師免許は取得できず無資格となってしまいます。
両方の試験にしっかり合格できるよう、十分な準備が必要です。
【私の体験談】ダブル受験の緊張
私は、看護師を前年に不合格だったため、保健師試験と看護師試験を同時受験しました。
保健師試験の方が先だったので、試験2日前からそちらに集中しました。
試験当日は緊張しましたが、過去問を繰り返し解いていたので落ち着いて臨めました。
保健師試験が終わった後、すぐに看護師試験の最終確認に入りました。
2日後の看護師試験に向けて、苦手分野を中心に復習しました。
正直、2つの試験を短期間で受けるのは大変でしたが、乗り越えられました。
両方合格した時の喜びは、今でも忘れられません。
合格するための勉強時間と対策方法


保健師国家試験に合格するには、適切な勉強時間と対策が必要です。
効率的な学習方法を紹介します。
必要な勉強時間
必要な時間は人によって異なります。勉強の開始時期や1日の勉強時間は自分で決めていく必要があります。
まずは、自分の苦手な分野を集中的に勉強することと、過去問を最低でも3周解くことを目標にすると良いです。
私の場合は、試験の6ヶ月以上前から3〜4時間と本格的にスタート。試験3ヶ月前からは8〜12時間勉強しました。
苦手が多かったため、他人以上の勉強量が必要と判断しての勉強時間です。
- 1日3〜4時間の学習を3〜6ヶ月継続
- 合計300〜500時間程度が目安
- 個人の理解度によって変動する
効果的な勉強方法
学校の授業や実習で学んだ内容を確実に理解することが基本です。国家試験対策は早めに始めることをおすすめします。


看護師試験との並行対策
保健師国家試験と看護師国家試験を並行して勉強することは、簡単ではありません。
保健師国家試験は合格率が高いですが、油断は禁物です。計画的に学習を進めて、確実に合格を目指しましょう。
- 時間配分を考えて計画を立てる
- 看護師試験の勉強が基礎となる
- 保健師試験は専門分野に特化する



私は看護師試験と保健師試験を同時受験しました。
保健師の学校にも通いながら、4月から土日は予備校、平日は学校終わりに看護師試験の過去問の勉強に取り組みました。
長期休暇(夏・冬)には講習があったのでもちろん参加。
秋以降は完全に毎日、国試対策の勉強を朝から晩まで行い集中する日々。5年分の過去問の問題集は4回以上繰り返し行いました。
私の勉強法と失敗談
私の勉強法を具体的にお伝えします。
勉強開始時期:試験の6ヶ月前(9月)
最初は余裕があると思っていましたが、実習と卒業論文が忙しく勉強時間がなかなか取れませんでした。たた、勉強を止めないように継続していました。
1日の勉強時間
- 平日:2〜3時間(授業後や通学時間)
- 休日:5〜6時間
使用した教材
- 過去問題集(5年分)
- レビューブック保健師
勉強の進め方
- 9〜11月(実習・論文期間)
- ほとんど勉強できず
- 通学時間・帰宅後に参考書を読む程度
- 実習が忙しくて余裕がなかった
- 論文制作の息抜きに国試勉強をしていた
- 12月〜1月中旬
- 過去問を1〜2周目
- 全然解けなくて焦りました
- 1月中旬〜試験直前
- 過去問を2周目、3周目
- よく間違う問題を集中的に理解を深めた
- 苦手な保健統計を集中的に
- 模擬試験を3回受験
- 毎日8〜12時間勉強しました
失敗したこと
- 基礎知識が不足していた(看護師国試の勉強が役に立った)
- 保健統計を後回しにしてしまった
成功したこと
- 過去問を繰り返し解いた
- 間違えた問題を理解するまで、深く調べた
- 気分転換にカフェ・図書館で勉強した
- 勉強する場所から移動しないように、机の周りに水分・軽食を用意した
- 模擬試験で弱点を把握できた
私からのアドバイス
勉強は早めに始めてください!
実習後から始めると、本当に時間が足りません。
理想は試験の年度の4月から、少しずつでも始めることです。
夏期講習・冬期講習、模試は参加した方が良いです。
保健統計は早めに対策しないと、試験直前に焦ります。
過去問は3周以上解くことを目標にしてください。
不合格の場合はどうなる?
保健師国家試験や看護師国家試験に不合格になった場合を説明します。
| 保健師試験のみ不合格 | ・看護師免許は取得できる ・看護師として働くことが可能 ・翌年以降に保健師試験を再受験できる ・受験回数に制限はない |
|---|---|
| 看護師試験のみ不合格 | ・保健師試験に合格していても保健師免許は取得できない ・無資格状態となる ・翌年の看護師試験に合格すれば保健師免許が取得できる ・両方の試験に合格するまで免許は交付されない |
| 両方とも不合格 | ・無資格状態となる ・翌年以降に両方の試験を再受験する ・卒業した学校のサポートを受けられる場合もある |
不合格になっても、何度でも受験できます。諦めずに勉強を続けることが大切です。
多くの養成機関では、卒業生の国家試験対策をサポートしています。学校の先生や友人に相談しながら、再チャレンジしましょう。
- 不合格の原因を分析する(試験問題を振り返る)
- 苦手分野を重点的に勉強する
- 学校の国試対策講座を活用する(卒業校に確認してください)
- モチベーションを維持する工夫をする(ご褒美を用意)
私の同期で、保健師試験に不合格だった人が1人いました。
その人は翌年再受験して無事に合格しました。1年間看護師として働きながら、空き時間に勉強していたそうです。
諦めなければ、必ず合格できます。
保健師になるための学費は?【150万〜650万円】


保健師を目指すには、教育機関での学費が必要です。
この章では、具体的な費用や支援制度について解説します。
教育機関別の費用一覧表
保健師養成機関の学費は、種類によって大きく異なります。国公立と私立でも費用に差があります。
教育機関別の学費一覧
| 教育機関の種類 | 修業期間 | 学費の目安 |
|---|---|---|
| 4年制大学 (看護師・保健師課程あり) | 4年 | 国公立:約240万円 私立:約500〜650万円 |
| 専門学校(1年制) | 1年 | 国公立:約50〜100万円 私立:約150〜250万円 |
| 大学専攻科・別科(1年制) | 1年 | 国公立:約50〜80万円 私立:約100〜125万円 |
| 短大専攻科(1年制) | 1年 | 約110〜170万円 |
| 大学院(2年制) | 2年 | 国公立:約140万円 私立:約250〜350万円 |
上記は授業料や入学金を含めた概算です。実際には教科書代や実習費用などの追加費用もかかります。
- 国公立の特徴
-
- 学費が安い(私立の約半額以下)
- 入学試験の競争率が高い
- 学力が高い学生が集まりやすい
- 施設や設備が充実している
- 地域に根ざした教育が多い
- 私立の特徴
-
- 学費が高い
- 入学の選択肢が多い
- 独自のカリキュラムや特色がある
- きめ細かい指導を受けられる場合が多い
- 就職サポートが手厚い傾向
その他の費用
- 教科書・参考書代:約5〜10万円
- 実習用品(白衣・靴など):約3〜5万円
- 通学費:居住地により変動
- 生活費:一人暮らしの場合は月10万円程度
看護師課程を修了した教育機関の学費も含めると、さらに費用がかかります。
高校卒業から保健師を目指す場合は、総額を考慮する必要があります。
- 4年制大学(保健師課程あり):約240〜650万円
- 3年制看護専門学校→1年制保健師専門学校:約200〜500万円
- 4年制看護大学→1年制専門学校:約300〜800万円
ルートによって総額が大きく変わります。経済状況に合わせて最適なルートを選びましょう。
実際かかった費用
私のケースを具体的にお伝えします。
①看護専門学校3年制(国公立)卒業
約100万円(内訳:入学費・授業料・実習費・教科書)
②保健師専門課程1年制(私立)入学
約200万円(内訳:入学費・授業料・実習費・教科書)
③保健師専門学校通学時に学校以外でかかった費用の詳細
- 国家試験受験料(保健師・看護師) 5,400円×2=10,800円
- 通学定期代(12ヶ月)約28万円
- 予備校通学 約100万円
合算して、①約100万円+②約200万円+③約129万円=合計429万円
生活費(12ヶ月分)に関しては、実家暮らしでほぼ0円。親への感謝でしかありません。
もし、自分で資金をと考えている場合は、アルバイトや奨学金などを利用していきましょう。
利用できる3つの奨学金・支援制度
保健師を目指す際に活用できる奨学金や支援制度があります。経済的な負担を軽減するために、積極的に利用しましょう。
1. 日本学生支援機構の奨学金
日本学生支援機構の奨学金は、進学や学びを支えるための返還型・給付型支援制度で、最も一般的な奨学金制度です。
種類として、給付型奨学金、貸与型奨学金があります。
進学資金シュミレーターがあるので、自身の状況を細かく入力し目安になります。
給付型奨学金は、返済不要の奨学金です。世帯収入や学力基準があり、学習意欲があれば利用できます。
貸与型奨学金は、第一種(無利子)と第二種(有利子)があり、返済が必要となります。こちらも世帯収入や学力基準があります。
申請方法は、進学前の予約採用と進学後の在学採用があり、各在学校での手続きが必要です。学校に問い合わせ、書類提出は期日までに提出が必要です。
2. 自治体の奨学金制度
都道府県や市区町村が実施している奨学金です。
保健師は該当自治体で働くことが条件の場合が多く、一定期間勤務すれば返済免除になるケースもあります。
ただし、自治体によって内容は大きく異なりますので【各都道府県名 奨学金制度】と検索してください。
居住地や出身地の自治体にも確認してください。
- 卒業後の就職先が限定される
- 条件を満たさないと一括返済が必要
- 募集人数が限られている
3. 病院や企業の奨学金制度
医療機関や企業が独自に実施している奨学金です。卒業後にその病院や企業で働くことが条件となり、一定期間勤務すれば返済免除になります。
病院は看護師向けが多く、保健師向けは少ないです。保健師向けは産業保健師を採用している大手企業で稀にあります。
- 卒業後の就職先が限定されるため、就職先のリサーチも必須
- 一定期間同じ場所での勤務が必要なので、期間の確認が必要
活用のポイント
複数の奨学金を併用できる場合もあります。進学を考え始めたら、早めに情報収集し申請しましょう。
給付型を優先的に検討しましょう。また、返済が必要なものであれば、返済条件を必ず確認し、計画的に利用してください。
奨学金制度を上手に活用すれば、経済的負担を大幅に軽減できます。



私は奨学金を利用しませんでした。
理由は高校時に奨学金を利用していたことが大きな要因です。社会人になって、返済の負担が大きくなることを懸念しました。
そのため、親にお願いして1年間だけ学費・生活費の負担をお願いしました。親には本当に感謝しています。
★看護師として働きながら学費を準備する方法


看護師として働きながら、保健師を目指す学費を準備する方法があります。計画的に貯蓄することで、経済的な不安を軽減できます。
学費準備の基本的な考え方
進学先の学校の費用と在学中の生活費も含め考えていきましょう。
- 1年制専門学校の学費:約150〜250万円が目標
- 生活費も含めると月10万円×12ヶ月=120万円
- 合計約270〜370万円の準備が理想的
効果的な貯蓄方法
給与の定額預金、手当・賞与の全額預金、副業・残業での収入増額、生活費の見直しと節約などを駆使して効果的に学費の資金調達をしましょう。
給与から毎月一定額を貯蓄
給与(平均月給25万円の場合)の20〜30%を目標にし、月5〜7万円であれば2〜3年で150〜250万円が貯蓄できます。
貯蓄が苦手な人は、銀行の定期預金を設定し、先取り貯蓄で確実に貯めてください。
手当・賞与を全額貯蓄
夜勤手当や賞与を全額貯蓄に回す方法もあります。年2回の賞与で大きく貯まります。
副業や残業で収入を増やす
可能な範囲で残業を引き受け、収入を増やしましょう。また、休日に単発のアルバイト(看護師やそのほか)を検討してみてください。
ただし、体調管理を最優先に無理のない範囲で行ってください。
生活費を見直して節約する
固定費(家賃・通信費等)の見直しが一番効果的かもしれません。目標金額を明確にした上で家計簿をつけ、無駄な出費は確実に抑えていきましょう。
家計簿アプリも活用しましょう。
2年間で学費を準備する場合
- 月5万円×24ヶ月=120万円
- 賞与年2回×40万円×2年=160万円
- 合計280万円
3年間で学費を準備する場合
- 月4万円×36ヶ月=144万円
- 賞与年2回×35万円×3年=210万円
- 合計354万円
2〜3年間で学費と生活費の大部分を準備できます。
職場の支援制度を活用する
- 病院によっては資格取得支援制度がある
- 休職制度や復職保証がある場合もある
- 人事部や看護部に相談してみる
- 育児休業中に取得する人もいる
看護師として働きながら学費を準備することは十分可能です。
計画的に貯蓄して、保健師へのキャリアチェンジを実現しましょう。計画的に準備すれば、必ず達成できます。
まとめ


保健師国家試験は合格率90%以上ですが、しっかりとした準備が必要です。
国家試験対策は早めに始めることが成功の秘訣なので、実習が忙しくても、少しずつでも勉強を進めてください。
また、保健師養成学校の学費は150万〜650万円と幅があり、計画的な資金準備が重要です。学費の準備も計画的に行いましょう。
奨学金制度を上手に活用すれば、経済的負担は軽減できます。
国試勉強、資金準備は共に準備が必須です。計画的に実行していきましょう。
私の経験が、あなたの保健師への道のりの参考になれば嬉しいです。
保健師国家試験に合格し、夢を実現してください。心から応援しています!
※試験内容や制度は変更される可能性があります。
最新情報は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。


- 産業保健師・看護師歴15年以上
- 現在、フリーランスとして活動中
- Notion好き
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