「モノを減らす」「シンプルに暮らす」「捨て活」など、現代のライフスタイルにおいて人気を集める生き方のキーワードとして、「ミニマリスト」や「シンプリスト」が注目されています。
一見似ているこの2つですが、実は考え方や目的に明確な違いがあります。
この記事では違いをわかりやすく解説し、自分に合ったスタイルを見つけるためのチェックリストも用意しました。

- 産業保健師・看護師歴15年以上
- 現在、フリーランスとして活動中
- Notion好き
- シンプリスト
私自身、同棲・病気がキッカケで「物があふれている」ことに気づきました。多忙で寝に帰るだけの部屋で休まらない状態になり限界を感じ、ミニマリズムに目覚めました。
ただ減らすだけでなく「自分にとって本当に価値あるものは何か」を考えるようになり、現在はミニマリストとシンプリストの良いとこ取りをした生活を心がけています。
この記事は、そんな試行錯誤の末に見つけた「無理なくシンプルに暮らす」ための考え方をまとめたものです。
ミニマリストとは?

ミニマリズムの基本的な考え方
ミニマリズムは、余計なものをそぎ落とし、本当に必要なものだけに囲まれて暮らす思想です。
モノや情報、時間など、あらゆる面で”最小限”を追求し、無駄を排除することで自由と豊かさを得ようとします。
ミニマリストの特徴
- 所有するモノの数を極限まで減らす
- 部屋や持ち物は無彩色や単機能で統一されていることが多い
- モノへの執着が少なく、捨てることへの抵抗も少ない
- 時間やエネルギーを本当に大切なことに集中させる
ミニマリストの目標は、「最小限で最大限に生きる」こと。ストイックな印象を受ける人もいますが、その裏には自由への強い願望があります。
シンプリストとは?

シンプリズムの基本的な考え方
シンプリストは、“シンプルさ”を軸に生活を整える人です。モノの数を減らすことだけが目的ではなく、自分にとって”心地よい”状態を追求します。
美しさや機能性、使いやすさを大切にしながら、自分の価値観に合った選択を重ねていきます。
シンプリストの特徴
- モノは減らすが、”自分にとって必要・大切”なものは大事にする
- インテリアや持ち物に美意識やこだわりがある
- 忙しさや雑多さから解放された、整った暮らしを理想とする
- 無理にモノを減らさず、自分に合ったバランスを重視する
つまりシンプリストは、モノの量よりも“質”や”心地よさ”を追求するタイプ。
ミニマリストよりも柔軟性があり、継続しやすいライフスタイルとも言えます。
ミニマリストとシンプリストの違いは?

観点 | ミニマリスト | シンプリスト |
---|---|---|
モノへの考え方 | できるだけ持たない | 必要なもの・心地よいものは持つ |
目的 | 自由・集中・解放 | 整った暮らし・美意識・効率 |
方法 | 捨てる・削ぎ落とす | 選ぶ・整える |
美意識 | 無彩色・無機質 | シンプルで美しいものを大切にする |
柔軟性 | ストイックで極限的 | 柔らかく、自分に合わせて調整 |
よくある誤解
一般的にみられる印象も含めて、誤解があるので紹介します。
誤解1: ミニマリストは何も持たない
「ミニマリスト=持ち物がほとんどない人」というイメージがありますが、これは大きな誤解です。実際のミニマリストは「必要なもの」と「不要なもの」を明確に区別し、必要なものは積極的に活用します。
例えば、料理が趣味のミニマリストであれば、キッチン用品は必要最小限でも適切な品質のものを揃えていることが多いです。
大切なのは「数」ではなく「本当に必要かどうか」という判断基準なのです。
SNSなどで見かける極端なミニマリズムは一部の例であり、多くの人はもっと現実的なアプローチでミニマリズムを実践しています。
誤解2: シンプリストは結局物欲が強い
「シンプリストはデザイン性の高いものを求めるから、結局物欲が強いのでは?」という疑問を持つ方もいます。確かにシンプリストは美しさや質を重視しますが、それは「たくさん持ちたい」という欲求とは異なります。
シンプリストの物選びの基準は「長く使えるか」「本当に自分に合っているか」「機能性とデザイン性のバランスは取れているか」など。
むしろ慎重に選び、大切に使うことで、結果的に消費を抑える効果もあります。
質の高いものを厳選して持つことと、たくさんのものを欲しがることは根本的に異なる価値観なのです。
誤解3: どちらも極端なライフスタイル
テレビや雑誌・SNSで紹介されるミニマリストやシンプリストは、視聴者の印象に残るような極端な例が多いため、「自分には無理」と感じる方も少なくありません。
しかし実際は、ほとんどの実践者が自分のライフスタイルや価値観に合わせて柔軟にアレンジしています。
例えば「キッチンツールはミニマリスト的に厳選し、本棚はシンプリスト的に美しく整える」といった、ハイブリッドな実践方法もあります。
大切なのは「〇〇主義者」というラベルではなく、自分にとって心地よい暮らしを実現することです。
ライフスタイルは完璧を目指すものではなく、日々の小さな選択の積み重ねで形作られていくものなのです。
誤解4: 一度始めたら徹底しなければならない
「一度ミニマリストやシンプリストを目指し始めたら、最後まで徹底しなければならない」と考える方もいますが、これも誤解です。
人の価値観やライフステージは変化するもの。今日のあなたに合ったスタイルが、1年後も同じとは限りません。
大切なのは、その時々の自分に誠実に向き合い、心地よさを追求し続けることです。シンプリストからミニマリストへ、またはその逆に移行することもあるでしょう。
ライフスタイルは進化するものだと捉えると、より柔軟に楽しめるようになります。
あなたはどっち?
ミニマリスト・シンプリスト診断チェックリスト

自分がどちらのタイプに近いかを見つけるためのチェックリストを用意しました。PDFやNotionテンプレートも記事下部からダウンロードでるので活用してください。
ミニマリスト寄りのチェック項目
- モノが多いとストレスを感じる
- 1日1捨てを実践している / したことがある
- シンプルな部屋が好き
- クローゼットには同じような服しかない
- モノを持たないことで自由を感じる
- 持ち物を減らすと気分が軽くなる
シンプリスト寄りのチェック項目
- モノは減らしたいが、好きなデザインは手放したくない
- 美しく整った空間が好き
- 機能性・デザイン性を重視してモノを選ぶ
- 自分にとって”ちょうどいい”数を大切にしている
- 手間を減らして効率的に暮らしたい
- 捨てることよりも選ぶことに重きを置いている
チェックが多かった方が、あなたにとって心地よいスタイルの可能性が高いです。両方に当てはまる方は「ハイブリッド型」のライフスタイルを楽しむのもおすすめです。
実践への一歩:チェックリストを活用しよう

診断をして終わりではなく、ここから自分の暮らしをより良くするヒントを得ていきましょう。
- ミニマリスト寄り
まずは毎日1つ、不要なモノを手放す「1日1捨て」から始める - シンプリスト寄り
お気に入りのアイテムを整理整頓し、美しく見せる工夫をしてみる - 両方のバランス(ハイブリット)
使っていないけれど気に入っているモノに対して、”今後どう使うか”を考える
実践例:書籍の整理
ミニマリストの場合:
- 電子書籍に移行し、紙の本は手放す
- 一度読んだ本は基本的に処分する
- 本棚をなくし、必要最小限の参考書だけを残す
シンプリストの場合:
- 美しい本棚を用意し、ジャンルごとに整理する
- 読んだ本でも、自分に価値のあるものは残す
- 定期的に見直し、本の入れ替えをする
実践例2:クローゼット・衣類管理
ミニマリストの場合:
- 最小限の服で最大限の組み合わせを楽しむ
- オールシーズン使える素材や色を選ぶ
- 同じデザインの服を複数色持つことで選択の手間を省く
- 1年間着なかった服は迷わず手放す
シンプリストの場合:
- 質の高い素材の服を選び、長く大切に着る
- コーディネートを考えやすいベーシックアイテムを中心に揃える
- 収納方法を工夫し、選びやすく見やすい環境を作る
- 好きなデザインや色は残しつつ、定期的に整理する
実践例3:キッチン用品
ミニマリストの場合:
- マルチに使える調理器具を厳選する(例:フライパン一つで様々な調理)
- 食器は人数分+αのみに制限する
- 調味料や保存容器も最小限に絞る
- 使用頻度の低い専用器具(例:ホットサンドメーカー)は持たない
シンプリストの場合:
- 使い勝手の良い質の高い調理器具を選ぶ
- 食器は統一感のあるデザインでコーディネートする
- よく使うものは手の届きやすい場所に美しく配置する
- 調理の楽しさを高める道具は厳選して持つ
実践例4:デジタルライフ
ミニマリストの場合:
- スマートフォン内のアプリは必要最小限に絞る
- メールやSNSの通知をオフにし、集中力を高める
- クラウドストレージサービスを活用し、ローカルのデータは最小限に
- デジタルデバイスそのものも複数持たず、1台で用途を賄う
シンプリストの場合:
- アプリをフォルダで整理し、使いやすい画面構成にする
- デジタルとアナログを組み合わせ、自分に合った管理方法を見つける
- 定期的にデータの整理や不要ファイルの削除を行う
- 心地よいデザインや操作を重視したアプリやサービスを選ぶ
チェックリストを今すぐダウンロード!
PDF版ダウンロードを用意しました。印刷して利用できます。
まとめ:自分に合ったスタイルでシンプルに暮らそう
ミニマリストもシンプリストも、「シンプルで豊かな暮らし」を目指す点では共通しています。大切なのは、自分の価値観やライフスタイルに合った方法を選び、無理なく心地よく続けていくことです。ライフスタイルも日々進化していきます。
ぜひ、この記事を参考に、自分だけのシンプルライフを見つけてみてください。